第86回 樹木の学校報告
「神宮外苑再開発における無剪定根回し90本の事例報告」

2025年2月23日農大キャンパスにて樹木の学校86回を開催しました。今回の樹木の学校では、明治神宮外苑再開発における90本の樹木(ヒトツバタゴやケヤキ等の大径木含む)を対象とした、林試A法による根回し事例が報告されました。講師は本会理事の直木哲樹木医です。
特筆すべきは、全個体を「完全無剪定」で実施した点です。通常、移植時は蒸散を抑えるための剪定が行われますが、本事例では「葉のエネルギーを最大限に活かす」方針を採り、1年半のモニタリングの結果、衰退はほぼ見られませんでした。圃場実験でも、強剪定を行うとむしろ発根が阻害されることが示され、無剪定の有効性が実証されています。
また、環状剥皮の緻密なデータ収集や、乾燥を防ぐ稲わらマルチの効果など、現場目線の工夫が多岐にわたり共有されました。私たち樹木医・造園家にとって、樹木の生命力を信じ、伝統的な技法を現代の科学的知見で再確認する非常に意義深い報告となりました。


